映画『ファーストマン』を見てきたのですが、その撮影にアナログフィルムが使われているとのこと。
『セッション』『ラ・ラ・ランド』で時代の人となった新生デイミアン・チャゼル監督が、いったい今度はなにをやってくれるのかと思ったら、アナログという挑戦でした!
すでに起こっているかもしれない、アナログ(フィルム)ルネッサンスのことを交えて書いてみました。
16ミリ,70ミリアナログフィルムで撮影された映画『ファーストマン』
これは映画評論家・町山智浩さんがラジオで話していて知りました。
映画『ファーストマン』は、1969年に人類初の月面着陸を成し遂げたニール・アームストロング船長の話ですが、その当時の映像を再現するためにアナログフィルムが使われたとのことです。
60年代のノイズのある映像を再現するために、地球のシーンは16ミリフィルで撮影され、澄んだ月のシーンは70ミリフィルムで撮影するというこだわりです。
映画を見れば分かりますが、手振れはひどいし、アップシーンもなんだかきりっとしたピントではないんですよね。
それがいいんですが!笑
16ミリフィルムってすごく小さい!シネレンズのこと。
このブログはオールドレンズ沼で始まったようなものですが、シネレンズ沼も体験しました。
その多くが16ミリフィルム用のシネレンズ(映画用レンズ)です。
写真のとおり、小さい!
初めて手にしたシネレンズ「Taylor Hobson 1inch F1.9」の驚きは、ほんと小ささでした!
デジタルとフィルムの換算は厳密にはできないようですが、センサーサイズで言えば、Panasonic,Olympusのデジタルカメラのマイクロフォーサーズよりも小さい、Nikon1くらいですね(生産終了、残念!)
映画『ファーストマン』はこんな小さいレンズで撮ってるんですよ!
それを、映画の巨大スクリーンで見せるって、なんというか。機材ではないというか、アマチュアにも夢があるというか(今は、iPhoneの登場で、誰もが映画・映像監督になれる時代ですが・・・)
やっぱりプロはすごいって話ですね。
逆に、70ミリフィルムはすごく大きい!!4K, 8Kの世界かも。
2018年から各社ミラーレス一眼での販売強化を始めたフルサイズ機ですが、フルサイズとはアナログフィルムで言えば35ミリということになります。
映画『ファーストマン』の月のシーンは70ミリアナログフィルムの映像です。
町山智浩さんも「デジタルよりもクリア」みたいな表現をされていましたが、それもそのはずで、センサーサイズ換算したら4Kどころか8Kということになるかもしれません。
4K, 8Kでも追いつかない映像かもしれません!
そんなこだわってることをやってるんです!映画『ファーストマン』で、デイミアン・チャゼル監督は!
(とはいえ、現在の映画館はアナログフィルムで映写してないので、結局ある程度のデジタルに落とし込まれてしまうんですよね。本当の意味での70ミリフィルムのすごい映像は、残念ながら見れてないと言えるかもしれませんね)
映画『ファーストマン』はコダックのシネマフィルムかな?Cinestill 50Daylight, 800Tungsten
このサイトで、35ミリフィルムの作例を何点かアップしているのですが、その中でCinestill 50Daylight, 800Tungstenの作例もアップしています。
このCinestillフィルムは、コダックの映画フィルムを写真用に転用するという試みで生まれたフィルムです。
今の映画界にアナログフィルムを選ぶ選択肢はほとんどないようですので、おそらく映画『ファーストマン』はコダックの映画フィルムを使っているのではと思います。(富士フィルムのエテルナもあるみたいですが。映画保存用フィルム?)
映像を見ると、なんとなく光の感じがCinestill 50Daylightっぽいな~と思いました。
≫ How DP Linus Sandgren FSF used Kodak film to create an intimate portrait of an epic adventurer in First Man (kodak.com)
映画界、アナログフィルム再燃の波
『バットマン・ダークナイト』などで有名なクリストファー・ノーラン監督は、できる限りCGを使いたくないらしいです。『インターステラー』のロボットいかにも作り物でした笑。『ダンケルク』でもフィルムカメラで撮影したとか。
また、ポールトーマスアンダーソン監督の『ファントム・スレッド』も35ミリと70ミリフィルムで撮影されたとのこと。
デジタルによる「アナログフィルムシミュレーション」
一方で、アカデミー賞受賞作品『ムーンライト』はアナログフィルム撮影ではないものの、アナログフィルムシミュレーションをおこなっており、映像の美しさも見どころのひとつでした。
成長とともに変わるシーンを、富士フィルム、アグファ、コダックのフィルムをシミュレーションして表現しています。
私がフィルムシミュレーションに興味をもったのものこの映画だった気がします。
それで、LightroomとVSCOフィルムプリセットを試しました(記事はこちら≫)。
ただ、やはりデジタルでは物足りなくなってしまい、実際の35ミリフィルムに手を出すという流れで・・・笑
(映画情報は基本的に町山さんのラジオを鵜呑みにしてまして、裏どりとかしてませんので、詳しいことは調べてください!)
Cinestillフィルムと「アナログフィルムルネッサンス」
現在のアナログフィルム再燃の動きを見て、ふと思ったのがこの「ルネッサンス」という言葉でした。
ルネッサンスは文芸復興と訳されます。古代ギリシャ・ローマ文化を当時の現在(14~16世紀)に再生させようみたいな文化運動でした。(≫コトバンク)
若い人たちが古いものに興味をもって盛り上げていくってありますよね。フィルムカメラが若者の間で人気なのはインスタグラムを見れば一目瞭然ですし、80年代ファッションも人気だったりしてますね。
日本に限った話ではなくて、Netflixオリジナルドラマ「13の理由」は、アメリカの現在の女子高生が遺書をカセットテープに吹き込んだという内容でした(SONYのウォークマンを見つけるところから始まる)。
そんなアナログ回帰を想いながら(若者にとってはファーストコンタクトですが!)、Cinestilフィルムのサイトを見ていたら、こんなことが書いてありました。
We are in the midst of an analog renaissance! We have seen unprecedented growth and interest in film, from young photographers and those returning to their first love.
そう、「ルネッサンス」という言葉が使われていました!アナログルネッサンス!感激しますね。
若きデイミアン・チャゼル監督もそんなルネッサンスの中のひとりかもしれません。
おわりに
というわけで、書き出しは映画『ファーストマン』がアナログフィルムで撮影したみたいだから、ぜひ見てみて!というつもりだったのですが、調べてるうちにこんな内容になってしまいました笑
アナログフィルムルネッサンス!私たちは今この真っただ中にいるんです!(by Cinestill film)
Cinestill film
フィルム(フィルムシミュレーション)の映画作品