失敗しないカメラ選び – オールドレンズにミラーレスが強いのはなぜ?その理由はフランジバック。(対応表あり)

Hiron
こんにちは、オールドレンズ沼のHironです。(Twitter / Youtube)

オールドレンズをデジタルカメラ利用する場合のボディ選びについて、私なりにまとめてみました。

今やマウントアダプターがたくさん出ているから、どのデジタル機を購入しても使えるのでは?と思うかもしれないけど、実はそうではなかったりします。私も知らなくて、ブログ記事を流れで読んでもらえばわかりますが、レンズのためにボディを買う(記事はこちら)ということを幾度かしています・・・。私のように無駄なお金を使わないためにも、参考にしていただけたら幸いです。

オールドレンズ機としてはフランジバックセンサーサイズに気を付ける必要があります。

※全体的な流れは「オールドレンズの始め方・使い方」を参考にしてください。

レンズによって使えるカメラボディは違う!

オールドレンズとカメラボディの対応表

まず対応表を作ってみました。縦軸がカメラボディ、横軸がオールドレンズです。PENTAX機でKマウントレンズを使う場合以外は、すべてマウントアダプターが必要です。

デジタル一眼レフ

デジタル一眼レフではK,M42マウントのオールドレンズが使えます。センサーサイズはフルサイズまたはAPS-Cサイズが一般的です。Nikonはフランジバックが長いために普通のアダプターでは無限遠が出ません。そのためNikonユーザー用に改造されたオールドレンズさえ存在します。

K M42 ライカL C
PENTAX(K) × ×
Canon(EF) × ×
Nikon(F) × △無限遠 × ×

ミラーレス

縦軸はセンサーサイズの大きい順で並べました。ミラーレス機ではすべてのオールドレンズが使用できます。Nikon1,PENTAX QでもK,M42,L39マウントのレンズは使えますが、センサーが小さく、かなり切り取られた画角になるため△としました。シネレンズなどを選ぶ場合にこちらは候補になります。また、ライカLマウントまでフルサイズでカバーできるSONYの強さが分かるかと思います。(各社のカメラボディは下で取り上げています)

K M42 ライカL C
フルサイズ(SONY E) △ケラレ

APS-Cサイズ

(Canon EF-M,Fujifilm X,SONY E)

△ケラレ

マイクロフォーサーズ

(Panasonic,Olympus)

○一部ケラレ
Nikon1
PENTAX Q

では、オールドレンズ機選びの鍵となるフランジバックとセンサーサイズとは?

フランジバック

フランジバックは、レンズのマウントから、カメラボディのセンサーまでの「距離」のこと。上の写真の通り、デジタル一眼レフ(左)とミラーレス(右)ではまったく違って、同じレンズ(例はPENTAX M 1.4/50)を使うには、ミラーレス機にかなり厚みのあるマウントアダプターを付けなくてはいけなくなる。

逆に、この例(Jupitar8 2/50)のようにミラーレスで厚みの少ないマウントアダプターでちょうどいいレンズの場合、もはやデジタル一眼レフでは使用できません!めり込ませないといけなくなってしまうので・・・。これがフランジバックの違いです。

一眼レフ(左)のフランジバックの長さの理由は、ファインダーからレンズを通した対象を見れるようにするために、ボディ内にミラーがあるから。一方でミラーレス機(右)にはその名の通りミラーがないので、薄くコンパクト化することができている。これはフィルムカメラ時代のライカを代表とするレンジファインダーカメラの形に近いです。こういうことが分かると、どちらのカメラボディにどんなオールドレンズが対応するかなんとなく想像できると思います。

デジタル一眼レフのフランジバックを引き算することはできませんが、ミラーレス機はアダプターを足し算すれば良いので、すべてのオールドレンズに対応します。これがミラーレス機がオールドレンズ機として強い理由です。逆に、オールドレンズ沼に深くハマらないためにデジタル一眼レフを選ぶと言う判断もありますね(M42だけでもかなり多いですが・・・)。

センサーサイズ

次にセンサーサイズ。これはかつての35mmフィルムに換算してどのようなセンサーかというもの。35mmフィルムどおりにレンズを使えるものをフルサイズといい、それより画角が小さくなってしまうものにAPS-Cサイズや、マイクロフォーサーズがある。一般的には、フィルム通りのレンズの画角で写せるフルサイズが一番良いと言われます(その分高価です)。しかし、例外もあります。

私が試したレンズの中では、一部のプロジェクターレンズの改造レンズと、Cマウントシネレンズでは、フルサイズではセンサーが大きすぎてケラレてしまいました。16mmフィルム用に作られていたりするため、カメラ用のレンズに比べてイメージサークルが小さいために起こる現象です。こう言ったレンズを使いたい場合にはセンサーサイズも考慮する必要があります。
上の写真は、SONY NEX-5R(APS-Cサイズ)+ シネレンズBell&Howell Super Comat 1inch F1.9で撮影したもの。フルサイズより小さいAPS-Cサイズでもかなりケラレてしまいます。

以降に、オールドレンズ別に各社のおすすめカメラボディを選んでみました。オールドレンズ機選びの参考にしてみてください。

ペンタックスKマウント

ペンタックス独自のマウントかと思いきや、貧者のズミクロンとして人気のリコーのXR Rikenon 2/50や、Cosinaなど他メーカーのレンズも存在する。とろけるぼけのPENTAX-M 1.4/50, 1.7/50も人気。
≫ ペンタックスKマウントのレンズ記事一覧

基本的にはペンタックスのデジタル一眼レフ

ペンタックスKマウントはそのマウントが開発採用された1975年から、今もずっと変わっていないため、当時からのレンズがそのまま使える。しかも、グリーンボタンを押すことでオールドレンズでも機能するハイパーマニュアル。下の写真はK-7のグリーンボタン。Mモードにして押すことで機能し、自動で適正露出にしてくれます(詳しくはこちらの記事に書きました)。

まずAPS-Cサイズ(焦点距離1.5倍)で考えると、売れ筋はPENTAX KP、次いでPENTAX K-70。スペックの違いは主に画素数と動画レートのよう。入門機ならPENTAX K-S2で、オールドレンズだけでやる気構えなら、ボディのみで買えば新品でもかなり安くあがる。

私が使っているK-7も中古市場で流通してます。防塵防滴なのでおすすめですよ。

フルサイズとなると、PENTAX K-1かPENTAX K-1 MARKII。フルサイズのデジタル機は高いので、安く手に入るフィルムカメラを選ぶという選択肢も。コンパクトなPENTAX MXやPENTAX MEはおすすめです。

他社カメラをマウントアダプターで使う。
デジタル一眼レフなら、キャノンがKマウントのフランジバックをクリアしてるので、PK-EOSアダプターで使うことができる。また、各社ミラーレス機ならマウントアダプターが揃っているので使える。

M42マウント

国産では人気のTakumarシリーズや、Carl Zeissコピーが安価で手に入るロシアレンズ、東ドイツ時代のCarl Zeiss Jenaなど幅広い。安価で魅力的なレンズが多く、オールドレンズ沼に陥りやすいマウント。
≫ M42マウントのレンズ記事一覧

M42マウントはオールドレンズを始めるうえでの一般的なマウントになると思う。これ以降はマウントアダプターを使うのが条件となるが、デジタル一眼レフ、ミラーレス機どちらを選んでも使うことが可能。もともとは一眼レフ用のレンズのため、デジタル一眼レフの方がバランスはいい。

ペンタックスのデジタル一眼レフ

ペンタックスはKマウント以前はM42マウントを採用していて、両者はフランジバックが同じ。そのため、上で紹介したAPS-CサイズのPENTAX KP、PENTAX K-70、PENTAX K-S2でも、フルサイズのPENTAX K-1かPENTAX K-1 MARKIIどれを選んでもOK。ペンタックスのカメラがオールドレンズ沼に入っていきやすい所以でもある。私も偶然ペンタックスのカメラを買っていなければこんなことにはたぶんなっていなかったわけで、運が良かったのか悪かったのか・・・笑

唯一の難点は、「ピン押し対応」のアダプターが高価なこと。ペンタックス正規版があるのにピン押し対応ではないという。(ピン押しに関してはこちらの記事で触れました)

やはり安価でボディが手に入るのでK-S2はおすすめ!K-70も安くなってきてますね。

キャノンのデジタル一眼レフ

キャノンはM42マウントよりフランジバックが短いのでEOSのどのタイプでも基本的には使える。APS-Cサイズなら、EOS Kiss X9、EOS 80D、EOS 9000Dと言ったところ。

フルサイズなら、EOS 6D、EOS 6D MarkII、EOS 5D MarkIV。EOS-1D X MarkIIはフルサイズだけどここで紹介するようなレベルではないか・・・。個人的には小型フルサイズのEOS 6Dが発売されたころはかなり心が揺れました。
キャノンはシェアがかなり高いから、既にキャノンユーザーならM42-EOSのアダプターだけ買えばそのまま使える。

ニコンのデジタル一眼レフ

ニコンはM42マウントよりフランジバックが長いため、オールドレンズ機としてはおすすめしない。普通のM42-AIアダプターでは無限遠が出なくなってしまう。やや高価な補正レンズ入りのアダプターを使うことで回避は可能。

APS-C機でD7500、D5600、D3400あたり。高級機になるけど、Nikon Dfのクラシック感は物欲をそそりますね。カメラを買ううえで持ち歩きたくなるかはとても重要だと思う。
フルサイズならD750も中古なら買いやすい値段になってきてますね。

マイクロフォーサーズ

パナソニックとオリンパスのミラーレス機で採用されているマウント。センサーサイズが小さいので、焦点距離2倍の写りになる。玉ボケ星ボケのようなオールドレンズならとくに影響はないけど、Helios44のようなぐるぐるボケタイプだと、外側がセンサーから外れてしまうので、写りとしてはやや不利。M42-M4/3アダプターが必要。

とは言え、すべてのミラーレス機でM42マウントレンズは使用することができるので、次のライカLマウントのところで紹介したいと思う。

プロジェクターレンズ

バブルボケレンズのPentacon AVの人気で注目されるプロジェクターレンズのカメラへの転用。絞りはないものの高価なレンズに似た写りを安価に楽しめる。発掘する楽しさもある。
≫ プロジェクターレンズの記事一覧

プロジェクターレンズにはそもそもマウントは存在せず、カメラ利用は改造レンズなので、そのマウントに従えばOK。M42マウント改というのなら、上で紹介したようなボディだし、ライカLマウント(L39)の場合は次で紹介するボディが必要になる。どちらかのマウントに改造されていることが多い。

ライカLマウント(L39, M39)

レンジファインダーカメラであるライカのマウント。名だたるライカのレンズだけでなく、Carl Zeiss Sonnarシリーズ、ロシアレンズのJupiterシリーズなど名レンズ揃い。改造レンズとしても作られやすいマウント。
≫ ライカLマウントのレンズ記事一覧

このマウントからはカメラボディ選びにとくに注意。ライカLマウントはフランジバックが短いためデジタル一眼レフでは使えず、ミラーレス機が必要。センサーサイズ別に紹介すると・・・

マイクロフォーサーズ

焦点距離2倍になるサイズ。M42マウントでの不利な点を上げたけど、ライカLマウント改造レンズの中にはAPS-Cサイズでもケラレてしまうものがあるため、一台は持っておきたいカメラボディ。L39(M39)-M4/3アダプターが必要。

パナソニックだと、売れ筋はLUMIX  DC-GF9。コンパクトで持ち運びやすく安定のシリーズという感じ。もう少し解像度を望めばLUMIX DMC-GX8。デザインもクラシックでオールドレンズ似合う。電子ビューファインダー(EVF)があって撮影にも集中できる。
LUMIXは動画に強くて、4K,6K動画まで望むならLUMIX DC-G9、LUMIX DC-GH5もなくはないかなと。ハイエンドクラスでもデジタル一眼レフのフルサイズに比べたらかなりお求め易い。

オリンパスはE-PL8、E-PL9がカメラ女子なデザインからぶれてない楽しいカメラ。フィルターも豊富。フィルムカメラ風クラシックデザインのE-M10 Mark IIIや高級機のPEN-Fも売れてる。女子だけではなく、男性も取り込もうと言うのがデザインから見えますね。PEN-Fは高いけど、他社のハイエンドクラスに比べるとお買い得感がある。

APS-Cサイズ

焦点距離1.5倍のサイズ。

ミラーレスのAPS-Cはソニー、フジフィルムが力を入れていたところだけど、キャノンも製品を投入。オールドレンズ使用としてはクラシックなデザインでダイヤル操作満載のFujifilm X-Pro2、X-T3は魅力的だと思う。

各マウントアダプター
≫ Canon EF-Mマウント: L39(M39)-EOS M
≫ Fujifilm Xマウント: L39(M39)-FX
≫ SONY Eマウント: L39(M39)-NEX

フルサイズ(ミラーレスフルサイズはSONY一択!!)

更新:2019年現在、Nikon、Caononともにフルサイズのミラーレスが投入されましたが、まだまだオールドレンズ機としてはSONY一択ではないでしょうか?

レンズの焦点距離のまま撮影できる。

ライカレンズをフルサイズで撮れるフルサイズミラーレス!

ここがSONY一強の分野。オールドレンズをやって知ったその強さ。とりあえず、みなさん一台は持ってるのでは?と思うほど。

マウンドアダプターを使えば、ライカLマウントだけでなく、もちろんM42マウントも使える。ここまでのオールドレンズで言えばある意味万能なカメラボディ。すべてのオールドレンズユーザーにおすすめできる。L39(M39)-NEXアダプターが必要。

2019年6月現在、α7IIも中古市場で安くなってきましたね。(ついに買ってしまいました!)

オールドレンズユーザーの憧れは、α7IIIでしょうね!持ってる人増えてきてますね。バッテリーの持ちが格段に上がっているようです。

オールドレンズ界隈でのSONYの強さについてはこちらの記事にも書きました。

シネレンズ(Cマウント)

フランス製のアンジェニューをはじめ、クック、テイラーホブソン、ベルハウエルなど、映画創世記のレンズたち。玉ボケや収差など、独特な写りをするものが多い。カメラレンズとは国やメーカーが違うのも面白い。
≫ シネレンズの記事一覧

シネレンズはイメージサークルが小さいために、むしろセンサーサイズの小さいミラーレス機が必要。ここではソニーのミラーレスフルサイズも脱落!「センサーサイズ問題」の通りAPS-Cサイズでさえケラレてしまうので・・・。ちょっと一般には聞きなじみのないデジタルカメラボディが登場です。ここは逆にセンサーサイズの大きい順(ケラレる順)で。

マイクロフォーサーズ

焦点距離は2倍。
今までセンサーが小さかったマイクロフォーサーズも、ここではむしろ大きい部類。少しケラるが、それも写りの味になる(記事はこちら)。物によってはケラレないレンズもある。マイクロフォーサーズ機でのシネレンズの写りはほどよいケラレも含めてなかなか魅力的。やはり候補はライカLマウントでも取り上げた機種になる。アダプターはC-M4/3が必要。

Nikon1

焦点距離は2.7倍。
シネレンズを買って初めて存在を知ったマウントであり、センサーサイズ。約1インチのセンサーでシネレンズにはちょうど良い。ケラレないで撮影ができる。ニコン的には「ミラーレス」と言わずに「アドバンストカメラ」と位置付けている。
現行品はNikon1 J5だけとなっているが、電子ビューファインダーが付けられるVシリーズもある。最新はNikon1 v3。難点はオールドレンズ(マニュアルレンズ)使用時に絞り優先AEが使えないこと。gfotoという疑似チップで無理やり対応させることが可能。そのあたりをクリアすれば、シネレンズに最適と言えるボディ。アダプターはC-Nikon1(N1)が必要。

2019年現在は生産終了してます。しかし、以外にもこの小ささがカルト的人気を呼んでいるのでは??売れてますね。

PENTAX Q

焦点距離は初期のQ,Q10では約5.5倍、Q7以降では約4.6倍。
手のひらサイズのミラーレス機。存在は知っていたけど誰が使うカメラなんだろう?と思ったら、シネレンズだと望遠気味で使える。このサイズ感!シネレンズ次第ではどうしても欲しくなってしまいそうなカメラ・・・。
現行品はPENTAX Q-S1。倍率の関係で初期モデルを探すという選択肢もある。アダプターはレイクォールC-PTXQなど。

おわりに

まさかレンズのためにボディを探すことになるなんて思ってもみませんでした。どうしても使いたいレンズに出会ってしまったら仕方ないですね・・・。カメラボディに愛着がある方はそれに合うオールドレンズを探すのも良いかと思います。少しでもお力になれたら幸いです。