今回は、PO3-3M 50mm F2というロシアのシネレンズです。
「曰く」がつくとすぐに欲しくなってしまうのがオールドレンズ沼に陥ってる者の悪いところですね。
偶然に読んだネット記事でこのPO3-3MというレンズがCooke Speed Panchroのコピーらしいと知り、もはや衝動買いでした・・・。食事中のファミレスでebayポチり・・・。
Contents
PO3-3M 50mm F2 – CookeとTaylor Hobsonの歴史
衝動買いしてしまったものの知識は、「Cooke Speed Panchroという高いレンズがあるらしい。PO3-3Mだとそれが安価に楽しめるらしい。」程度・・・。少し調べました。
映画黎明期の話だった・・・
- 1891年にエジソンがキネトグラフとキネトスコープを発明(映画を撮る機械と見る機械)。
- 1895年にリュミエール兄弟が初の映画を上映。
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Cookeのレンズは1893年のイギリスに遡るのだった。
光学メーカーだったものの撮影用レンズを作っていなかったCooke社の設計士Harold Dennis Taylor氏がトリプレットを発明。これを製造販売できるところとしてTT&H(Taylor,Taylor&Hobson社)を見つけて委託(Taylorという名前が同じなのは偶然!なんか奇跡)。のちに合弁する。
1920年には、Cooke社は設計士のHorace William Lee氏がOpic型を完成させる。これはダブルガウス型と呼ばれる現在でも使われている型。
Speedpanchroはこの後に作られ、ハリウッドをはじめとする映画界で活躍した。
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と、Cooke社はカメラレンズの黎明期に革命的なレンズを発明した会社だった・・・。
ちょっと歴史からしてすごすぎる・・・。Carl Zeissよりも以前にこんな発明があったんですね。トリプレットに関してはMeyer-Optikの発明かと思ってました。
PO3-3Mはそのコピーらしいと言うことで、これらの実績と歴史の魅力にはかなわないけど、それに匹敵するかもしれないレンズを使えるだけでありがたい・・・。
PO3-3M 50mm F2マウント適用方法【改造方法】
これも検討した結果、プロジェクターレンズ同様にM52-M42ヘリコイドに取り付けから、薄いマウントアダプターでSONY Eマウントようにしました。だいたいいつもの通り。
フランジバックは短いので、ミラーレスカメラ専用。ただ、Cマウントのシネレンズと違い、こちらは35mmフィルム用ということでイメージサークルが大きい!APS-Cサイズならケラレません。
このような改造方法はプロジェクターレンズPentacon AVで紹介していますので、参考にしてください。
≫ バブルボケプロジェクターレンズPentacon AV改造方法
下に付いてるのは何のためだろう?置くため?金魚のエラみたいでちょっとかわいい笑。友人に見せたところ、絞り羽根の枚数には驚いていた。14枚もあり、ずっと円形を保っている。現代レンズにはない贅沢さ!
PO3-3M 50mm F2に必要なマウントアダプター
私はいったんM42に改造しましたが、一眼レフのフランジバックでは合いませんので、薄いマウントアダプターでSONY Eマウントに変換しました。
PO3-3M 50mm F2は上のebayのリンクを見れば分かる通り、すでに改造されたものも出品されています。
Eマウント用、またはマイクロフォーサーズ用(Panasonic, Olympus)に改造されたものを買うか、ライカLマウントのものを買ってマウントアダプターで汎用的に使うのがいいと思います。
Lマウント→SONY Eマウントで使う場合
Lマウント→マイクロフォーサーズで使う場合
Lマウント→富士フイルム Xマウントで使う場合
作例 | PO3-3M 50mm F2 原宿にて(ボディSONY NEX-5R)
2018年5月のゴールデンウィーク、日差しが強い日の原宿。
そういえば、今年のGWはずっと天気が良かったですね。
開放か開放気味でほとんど撮影しました。この日差しの影響があったのかもしれないけど、線の細さにびっくり!
いったいどういうことなんだろう?中央付近が解像度がたかくてキリッとしている。
これを拡大して見てみてもかなり繊細に写っていて、逆に周りは収差で滲むよう。このメリハリが線の細さを感じさせるのかなと考えてみたり・・・。
ほんとにピント部分がすごい!
オールドレンズはボケに特徴があるものが多いから、小物などを撮ることが多かった。
引きの絵だといまいち面白味が出ないなと思っていたけど、PO3-3Mは面白い。引きでも絵にメリハリがでる。
ピント部分の切れ味と、滲むようなボケ方もたまらないな~。確かに、ネットで見たスピードパンクロの写りに似てるような気がする。
こちらはF16くらいまで絞って撮影したもの。開放時の細い線とはうってかわって、骨太な絵になる。解像度は見事という感じ。でも開放で撮った方が楽しいな笑
作例 | PO3-3M 50mm F2 亀戸天神~押上 (ボディSONY NEX-5R)
こちらもGWに。亀戸天神に藤棚があるということで、友人と撮影に行ったのだけど、もうほとんど終わってました・・・。今年は暑いから花も早い・・・。
なんてことのない一枚も載せたくなってしまう写り。
わずかに残っていた藤を撮影。これも開放かな?硬めの玉ボケも綺麗。
藤まつりということで、屋台もたくさん出てた。
このレンズ、寄って撮っても楽しい。
差し込む日差しの部分にピントを当てたかったけど、ちょっと手前に来てしまった。というか、5月なのにもう夏祭りみたいだな・・・。2018年の夏どうなる・・・汗
歩いてスカイツリーまで。
なんとなくノスタルジーな写り。そういえば、PO3-3Mには黄変があるらしい。この個体をよく確認してないけど、そいういう影響がちょっとはあるかもしれない。どことなくTakumar 1.8/55っぽい気もする。
スカイツリーの下で大道芸をしていた。拡大すると中心のお姉さんにくっきりピントが来ていて、あまり奥行きがないお客さんたちがちゃんとボケている。スマホではこうはいかないよ笑
と、解像度の高さばかりに興奮してしまったけど、発色も文句ないですね。
PO3-3M 50mm F2 – 沼の深淵のようなレンズでした。
というわけで、今回はCooke Speed Panchroのコピーと噂されるロシアのシネレンズPO3-3M 50mm F2のレビューでした。
PO3-3Mは、私のオールドレンズ沼の深淵じゃないかな・・・。深い沼の底で宝物を見つけたみたいなレンズでした。
もうこれ以上の沼には行かないかもしれないけど、いくつか買っているレンズがあるのでもう少しだけつづく予定です。
次回は、ライカコピーのCanonレンズ。でも、スペックは本家を越えてるとか!?
つづく。
Lマウント→SONY Eマウントで使う場合
Lマウント→マイクロフォーサーズで使う場合
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